● EC物流とは?業務内容や効率的な運用方法を紹介!
公益社団法人日本通信販売協会(JADMA)の2020年度(2020年4月-2021年3月)通販市場売上高調査(速報値)によると、2020年度通販の売上高は前年比20.1%増の10兆6300億円となっています。
前年度比20%以上の伸び率となったのは調査を開始した1982年以来初めてということからも、EC市場の急激な成長が見てとれるでしょう。この流れを期にEC市場への参入を検討している企業は、まずEC物流について理解を深めることが必要となります。
そこで今回は、EC物流の特徴や業務の流れ、効率的にEC物流を行うポイントをわかりやすくご紹介します。
EC物流とは?
EC物流とはその名のとおり、EC事業を運営している会社の物流システムのことです。
EC(electronic commerce)は日本語では電子商取引と訳され、インターネットを通じて商品の販売・購入が可能なサイトのことをいいます。物流とは、輸送、保管、荷役、包装、流通加工、情報処理を経て、消費者のもとへ届くまで工程を指します。
つまりEC物流は、インターネット上で買い物した際の商品(もの)の流れのことです。
近年ではスマートフォンの普及により、店頭を訪れなくてもインターネット上で自分の欲しい商品を探して購入できるようになりました。また新型コロナ渦の外出自粛も、インターネットでの消費増加を後押しとなっています。
消費者がEC慣れした今、配送もサービスの一環として認識され、高品質な配送が求められています。EC物流の業務の流れや注意点を理解することで、売り上げアップや顧客満足度の向上につながるでしょう。
ここで、EC物流ならではの特徴をご紹介します。
配送量・配送先が多い
EC物流は商品を店頭で直接商品を販売する店舗と違い、インターネット上で商品を販売するという特徴から、大量の配送を担います。
日本中どこにいてもECサイトから商品を購入してもらえるのは大きなメリットですが、それに伴って配送量・配送先が多くなると販売者側の負担は大きくなります。
商品を発送する際、販売者側が特に注意しなければならない点は配送先の間違いがないよう徹底することです。配送量・配送先が多くなればなるほどミスの発生率は上がるため、ミスの怒らない仕組みづくりが必要となります。
また、セールやイベントなどのタイミングで一時的に大量の商品が売れることがあります。こうした場合に発送業務に無理がないか、確実に配送できるかどうかはもとより、担当するスタッフが業務過多とならないかにも注意が必要です。
梱包資材やラッピングに工夫が必要
インターネットショッピングでは商品を直接手渡しするのではなく、配送によって購入者の手元まで商品を届けるので、梱包資材やラッピングに工夫が必要です。
ギフトカードが選択できる、特別なラッピング対応が選べるなどの対応ができると、購入者からも好印象を得られるでしょう。直接顔を合わせずに商品のやり取りが行われるからこそ、ラッピングにこだわることでブランド力の向上やリピーター獲得につながります。
EC物流の業務の流れ
ECサイトを活用して商品を販売する際は、あらかじめEC物流の業務の流れを知っておかなければなりません。
ここでは作業をいくつかに分け、一つひとつの流れを詳しくご紹介します。
EC物流の業務は多岐にわたる
EC物流では購入者に対する迅速な対応が求められるため、業務が細かく分けられています。
EC物流を行う際は、それぞれの業務をしっかり把握しておくことでスムーズな対応が可能になり、売り上げアップにもつながるでしょう。
主な業務の流れとしては、入庫作業・検品や棚入れ・ピッキング・梱包、出荷作業・返品対応という流れになっており、それぞれの業務を確実に行う必要があります。
入庫作業
まずは販売する商品を入庫するところから始まります。EC物流の特徴として、入庫する商品の数は少ないがその分商品の種類が多いという特徴があるので、種類が多ければ多いほど倉庫内の管理体制を徹底しなければなりません。
在庫管理の担当者が入庫伝票をもとに商品を迷わず見つけられるよう、配置は論理的に行いましょう。入庫漏れは対応の遅れにもつながるので、瞬時に対応できる管理体制を整えたいところです。
検品や棚入れ
検品作業とは、入庫伝票に記載された内容と実際に入庫された商品が一致しているかを確認する作業です。
それぞれの商品の規格や個数に間違いがないかをよく確認しておかないと、正確な商品管理が行えないため、検品作業は非常に重要です。
検品後は、商品が出荷されるまで決められた場所に保管しておく棚入れ作業を行います。
棚入れ作業は決まった場所に商品を運び入れる簡単な作業に思われますが、場所を間違えると出荷の際にミスや時間のロスにつながります。
検品作業・棚入れ作業ともに、スピード感・正確さが求められます。
ピッキング
ピッキングは、配送する商品を棚から取り出す作業です。
ピッキングでは、出庫伝票に記載されている商品の規格や個数を確認し、記載内容のとおりに商品を取り出します。このとき重要となるのが、無駄のない動線を確保すること。動線の最適化は作業の手間を省けるため、効率のよいピッキング作業が行えるようになります。
梱包・出庫作業
梱包作業は、商品をダンボールなどの梱包資材に入れる作業です。
商品によっては緩衝材を詰めて破損を防止する、食品であれば保冷剤を入れるなどの対応も行います。また、購入者からラッピングの要望があればこのときに行います。
商品を出庫する際には、送り先の住所と購入者の名前を確認したうえで、日時指定に沿って運送担当者が動けるように指示が必要となります。こうした「手配」に分類される業務はできるだけ専用のシステムを利用するなどして、ミスの発生や時間のロスを減らすようにしましょう。
返品対応
破損や購入者の諸事情によって商品が返品されるケースもあります。
交換対応が必要な場合には商品を迅速に用意し、再送します。
また、返品された商品は再度販売できる状態か確認が必要です。
商品が返品される際はクレームにつながらないよう丁寧な対応が求められるため、対応マニュアルを事前に用意しておくとよいでしょう。
EC物流を効率化するポイント
EC物流を行う際は、効率的に行うポイントを押さえることが大切です。
物流業務の現状を把握して、フローを見直す
効率化するためには物流業務の現状を把握し、フローを見直す必要があります。
一部の問題だけでなく物流業務全体で考えた時に起こる問題を把握しておけば、それぞれの問題に合わせた工夫ができ、作業の効率化につながります。
とくにアナログな方法で業務を管理している場合は、業務量が増えれば増えるほど手が回らなくなるので、データ上で管理を行うなどのフローを見直すことで業務が効率化できるでしょう。
物流アウトソーシングを検討する
物流アウトソーシングとは、物流のプロである外部の業者に業務の全般を委託することを指します。物流アウトソーシングを活用すると、一般的な物流業務からシステム管理までをすべてプロに任せられるので安心です。
業務の効率化・コストの削減・配送品質の向上・柔軟な対応など、さまざまなメリットが得られるでしょう。ノウハウをもっていない会社でも自社では行えない高い水準のサービスが実現できます。
配送を業者に一任すれば、自社スタッフは販売促進やプロモーションなどの業務に注力することもできます。有用な人材の業務時間を確保したいなら、ぜひ物流アウトソーシングを検討してみてください。
まとめ
スマホ一つで簡単に買い物ができるようになった今、EC市場への参入を検討している、以前より注力したいと考えている企業は非常に多いでしょう。
ECサイトで商品を販売するにあたり、商品を仕入れて売ることは業務の柱となります。
しかし、安定したEC物流を確保できなければ、商品に需要があり「このサイトで買いたい」と消費者に思ってもらえたとしても、いずれ立ち行かなくなってしまいます。
EC物流の仕組みをしっかりと理解し、スムーズな流通を行えるようにしましょう。